今回は、次のポイントについて見ていきましょう
- はじめに
- なぜ日本の文書は標準的な自動化ではうまく処理できないのか
- Claudeは日本の文書の複雑さにどう対応できるのか
- Power Automateを使った日本の請求書処理
- 契約書レビューとコンプライアンスチェックの自動化
- Business Centralで進める日本語・英語対応の承認フロー
- まとめ
はじめに
日本に進出している外資系企業の財務・業務チームは、一般的な自動化ツールだけではどうしても対応しきれない場面に直面しています。
たとえば、仕入先から届く請求書は日本語で書かれていて、日付の表記も日本の形式が使われています。税項目も日本の適格請求書制度に合わせた内容になっていて、仕入先名も漢字で記載されるため、グローバルERPのマスターとそのまま一致しないことも少なくありません。
契約書は、請求書よりも長く、形式も整っているため、単に項目を取り出すだけでは対応できません。内容をしっかり理解する必要があり、法律用語も多く含まれています。
また、承認プロセスも日本特有の稟議の仕組みに基づいており、最終的な判断には複数の関係者の合意が必要になります。
こうした状況では、決められたルールに基づく自動化だけでは対応しきれなくなってきます。一方で、HTTP経由でPower Automateと連携させたClaudeを使えば、こうしたケースにも柔軟に処理できるようになります。
この記事では、実際の現場で使える日本語文書処理のワークフローを、順を追って見ていきます。
なぜ日本の文書は標準的な自動化ではうまく処理できないのか
多くの請求書自動化ツールは、決まったフォーマットを前提にしています。ただ、日本の文書では、その前提が必ずしも成り立つとは限りません。
日本の請求書では、「令和」といった和暦がグレゴリオ暦と並んで使われており、同じ文書の中で両方が混在していることもあります。
また、税関連の項目も2023年に導入された適格請求書発行者制度に沿った内容になっており、消費税額や登録番号を決められた形式で記載する必要があります。
さらに、仕入先名は漢字やひらがな、カタカナで表記されることが一般的ですが、グローバルERPで使われている英語名とそのまま結びつけられないこともあります。
課題は単なる翻訳にとどまりません。構造や書式、ビジネス上の文脈を保ったまま内容を変換し、そのままERPや自動化の処理に使える形にしていく必要があります。
翻訳の結果で表のレイアウトが崩れてしまうと、明細や合計金額も正しく扱えなくなってしまいます。
一般的なOCR(画像やPDFから文字を読み取る仕組み)やテンプレートベースの処理は、レイアウトが変わるとうまく機能しません。特に日本ではフォーマットがバラバラなため、同じ処理がそのまま通用しないことがあります。
一方で、Claudeはテンプレートに頼らず内容をもとに判断するため、レイアウトが変わっても情報を取り出すことができます。
Claudeは日本の文書の複雑さにどう対応できるのか
Claudeは、文書全体をまとめて読み取りながら理解できることや、多言語に対応している点から、日本の文書処理にも向いています。
Power AutomateとClaudeを組み合わせることで、日本企業の承認プロセスに関わる文書を、一つの流れとして扱えるようになります。取り込みやデータ抽出、その後の処理までをまとめてつなげられるようになります。
Claudeは、日本語と英語が混ざった文書でもそのまま読み取ります。日本語で書かれた項目から必要な情報を取り出し、その結果を英語のJSON形式で出力できます。
日本の請求書処理では、あらかじめ何を取り出すかを決めておくことで、Claudeに必要な項目を読み取らせることができます。請求書番号や発行日(YYYY-MM-DD形式)、仕入先名、明細項目、小計、消費税額、適格請求書発行者の登録番号といった情報です。
日付の形式も自動で整えられるため、Business Centralのように形式が決まっているシステムにも、そのまま取り込めるようになります。
契約書についても、Power Automateのフローから処理させることで、Claudeが要約や条項の確認、日付や条件の整理まで対応できるようになります。義務事項や気になる条項も、まとめて見ながら確認できるようになります。
法律用語も英語に変換できるので、海外のチームともやり取りしやすくなります。
Claude APIを使って自動化を進めている企業では、文書処理やカスタマーサービス、コンプライアンス対応の分野で、おおよそ40~60%の効率改善が見られています。
日本拠点のように英語の文書を多く扱うチームでは、作業時間の削減が実感しやすくなります。
Power Automateを使った日本の請求書処理
実際の運用は、大きく4つのステップに分けて進めていきます。
ステップ1:文書の取り込み Power Automateのフローが、SharePointのフォルダーやOutlookの受信トレイを見て、新しい請求書が届いたタイミングで処理を始めます。PDFや画像ファイルもそのまま扱える形に変換されます。
たとえば、SharePointにファイルが追加されたことをきっかけに動くフローを使えば、レイアウトやファイル形式、言語や通貨が異なる文書でも、そのままデータを取り出せます。結果として、会計システムに取り込める形に整理され次の処理にもスムーズにつなげられます。
ステップ2:Claudeによるデータの抽出 この段階では、Power AutomateからClaudeに文書の内容を渡し、必要な項目を読み取らせます。日本の請求書に合わせて、事前に取り出す項目を決めておけば、その情報をまとめて取り出せます。
データは、Business Centralで扱える形式に整えられて返ってくるため、次の処理に進めやすくなります。
ステップ3:検証とチェック この段階では、取り出したデータをもとに内容を確認していきます。仕入先名がBusiness Centralのマスターと合っているか、消費税額が明細の合計と合っているかなどを見ていきます。
適格請求書の企業番号が抜けている場合や形式が合っていない場合は、あとで分かるようにしておきます。
ステップ4:処理の振り分けとERPへの入力 問題がなかった請求書は、そのままBusiness Centralに取り込まれます。
一方で、気になる点がある請求書や一定以上の金額のものは、Teamsでの承認フローを通じて財務マネージャーに回されます。その際、Claudeによる要約や確認ポイントも一緒に共有されるため、元の文書を見なくても内容を把握しやすくなります。
契約書レビューとコンプライアンスチェックの自動化
契約書の処理も基本の流れは同じですが、取り出す内容に合わせて指示の出し方が変わってきます。
SharePointに新しい契約書がアップロードされると、Power AutomateからClaudeに文書が渡されて処理が始まります。
Claudeは契約の種類を見ながら、開始日や終了日、更新期限といった重要な日付を取り出します。あわせて、どちらが何をするかを分かりやすくまとめたり、標準と違う条項がないかも確認していきます。
また、日本語の法律用語も英語に変換されるため、海外のチームともやり取りしやすい形になります。
Claudeは、読み取った内容を整理した形で返してきます。Power Automateはそのデータを使って、重要な日付をデータベースに保存し、更新予定や契約の状況が分かるようにダッシュボード(状況を一覧で見られる画面)に反映していきます。
問題がありそうな契約内容については、法務やコンプライアンスのチームにTeamsで通知されます。要点も一緒に共有されるため、すぐに状況を把握できるようになります。
こうした仕組みがあれば、受け取った契約書を一つひとつ人が確認する必要はなくなってきます。すべてを一から見ていくのではなく、問題がありそうな契約だけを見ればよくなります。
Business Centralで進める日本語・英語対応の承認フロー
承認の段階になると、日本特有のやり方を考える必要が出てきます。
日本では、稟議の仕組みによって、支出の前に複数の部門で順に確認していくのが一般的です。
そのため、Power Automateで承認フローを作るときも、この流れを前提にしておく必要があります。承認を一人にまとめてしまうと、現場では別のやり方で補うことになり、実際の運用とかみ合わなくなってきます。
承認フローでは、Claudeが承認用の要約をまとめる役割を担います。請求書や契約書が承認段階に進むと、重要な数値や取引先の情報、支払いに関する内容などを簡単に整理してくれます。
要約は日本語と英語の両方で用意されるため、日本側は日本語で、本社は英語で内容を確認できます。
Business Centralでは、Power Automateでの承認フローが、発注書や仕入請求書、受注書、売上請求書といった文書に対応しています。
あらかじめClaudeでデータの抽出や確認まで済ませておくことで、Business Centralに取り込む時点でデータはある程度整った状態になります。
そのため、日本の子会社で特に時間を取られがちな買掛金処理の修正作業も、大きく減っていきます。
まとめ
Power Automateでの日本語文書の処理も、いまでは特別なものではなくなってきています。
Claudeを組み合わせることで、請求書のデータ抽出や契約書の確認、承認フローまでを一つの流れで扱えるようになります。日本語と英語の両方に対応できるのも大きなポイントです。
結果として、財務・業務チームの手作業は減り、Business Centralへの入力ミスも少なくなってきています。日本の進め方に合わせた形で、承認プロセスもよりスムーズで分かりやすいものに変わってきています。
Sysamic K.K.は、東京を拠点に、Microsoft Dynamics 365 Business Centralを中心としたソリューションを提供している企業です。日本で事業を展開する外資系企業に向けて、Power AutomateやAIを組み合わせた業務改善の支援に特に力を入れています。 当社では、日本の適格請求書の要件やコンプライアンス環境、日本特有の業務の進め方を踏まえながら、Claudeを使った文書処理や承認フロー、Business Centralとの連携をお手伝いしています。
日本の文書をまだ手作業で処理している場合は、その進め方の見直しについてもご相談いただけます。お問い合わせはお気軽に。 info@sysamic.com へメールもしくは contact form here こちらをクリック.

