今回は、次のポイントについて見ていきましょう
- はじめに
- Power Automate(業務自動化ツール)の得意なことと苦手なこと
- なぜ日本では書類の自動化が思うように進まないのか
- Power Automateだけでは埋めきれない4つの課題
- Claude AIがPower Automateの不足をどのように補うのか
- これからの書類業務はどう変わるのか
- まとめ
【はじめに】
Power Automateは、Microsoftが提供するワークフロー自動化のためのツールであり、同社のさまざまなサービスと連携できる点が特徴です。特に、Dynamics 365 Business Centralを導入している企業にとっては、承認作業や書類のやり取り、業務上発生した出来事に応じた処理を自動化することができます。
このように、Power Automateを活用することで、これまで人が手作業で行っていた業務の流れを、システム同士をつなげて自動的に処理できるようになります。つまり、Power AutomateはMicrosoftの複数のサービスを連携させながら、業務全体をスムーズに動かす役割を担っているといえます。
しかし、日本における文書処理の自動化、とりわけ高度な処理の場面では、Power Automateだけでは十分とは言えません。これはツール自体の問題というよりも、日本の文書環境には、一般的な自動化ツールだけでは対応しきれない特有の課題があるためです。
今回は、こうした課題が具体的にどのようなものなのか、そしてなぜ日本で業務を行う上で重要になるのかを見ていきます。あわせて、実際の現場でもうまく機能する書類ワークフローを構築するために、Power Automateにどのような工夫や機能が必要になるのかについても考えていきます。
Power Automate(業務自動化ツール)の得意なことと苦手なこと
Power AutomateとAI Builderを組み合わせることで、文書処理の自動化をしやすくなります。AI Builderを使えば、専門的な知識がなくても書類の中から必要な情報を取り出したり、種類ごとに分けたり、そのまま次の処理することが可能です。
また既存のモデルを使えば、請求書や領収書、契約書、身分証明書などにも対応できますし、自社の書類に合わせて独自のモデルを作ることもできます。
英語の標準的なフォーマットであれば、この方法は問題なく使えます。レイアウトが整っており、各項目のラベルも分かりやすく、日付の表記も一般的な形式であれば、AI Builderでも安定してデータを読み取ることができます。
例えば、欧米の取引先から送られてくる請求書であれば、必要な情報を正確に取り出し、そのままBusiness Centralに自動で反映させることができます。
一方、日本国内から届く書類は、形式が統一されていなかったり、日本語特有の表現が含まれていたりと、構造が複雑になりがちです。そのため、文書の形式が少し変わるだけでも、読み取りがうまくいかないことがあります。
なぜ日本では書類の自動化が思うように進まないのか
日本のビジネス文書は欧米とは異なり、さまざまな影響が生じています。
縦書きレイアウト 日本語の文書では、縦書き(上から下、右から左)が使われることが少なくありません。一方で、Power Automateに標準で搭載されているOCRは、横書きの読み取りを前提に設計されています。
そのため、縦書きの文書を読み取らせると、文字の認識がずれたり、不要なスペースが入ったり、結果として次の処理でうまく扱えないデータになってしまうことがあります。
文書レイアウトの不統一 従来の文書処理の仕組みでは、あらかじめ決まった書式を持つ文書が想定されています。レイアウトや項目の位置がある程度そろっていることで、必要な情報を読み取りやすくなるためです。
しかし、日本のビジネス文書、特に請求書や契約書は、形式が統一されておらず、企業ごとに大きく異なります。そのため、この方法ではうまく対応できないケースが少なくありません。
コンプライアンスと監査証跡の厳格化 日本の企業は、電子化された文書の保存やタイムスタンプの付与、監査に対応できる状態を維持するためのルールをまとめた「電子文書法」を守る必要があります。
しかし、Power Automateには、こうしたルールに対応するために必要な機能が十分に備わっていません。例えば、内容に応じて適切かどうかを判断する仕組みや、人の確認が必要な場合の対応などについては、標準的な機能だけでは対応が難しいのが実情です。
既存の業務システムとの連携 日本の企業では、オンプレミス環境(社内にサーバーやシステムを置いて運用する形態)で、独自にカスタマイズされた既存システムに大きく依存しているケースが多く見られます。こうしたシステムに、解析済みの非構造化データを直接取り込もうとすると、標準のクラウド連携がうまく機能しないことがあります。
その結果、追加の開発が必要になり、自動化を進めるほどコストや手間が増えてしまうことも少なくありません。
Power Automateだけでは埋めきれない4つの課題
こうした日本特有の事情が重なることで、Power Automateを使った文書ワークフローには、実務上4つの課題が生じます。
まず1つ目は、言語の理解です。AI Builderは、必要な項目を抜き出すことはできますが、その内容の意味まで理解しているわけではありません。
例えば、日本の取引先との契約書では、一般的でない条項が含まれていたり、日本語と英語の表現が混在していたり、令和表記のような正しく判断できない日付が使われていることがあります。こうした場合、AI Builderは文書全体の流れや意味を正しく把握することができません。
そのため、一部の情報は抽出できたとしても、それ以外の部分でうまく処理できず、気づかないうちにエラーになることがあります。
2つ目は、非構造化文書の処理です。最近の文書処理では、文字を読み取るだけでなく、文書全体の意味を踏まえて理解することが求められます。
ただ、Power Automateだけでは、日本で日常的に扱われるさまざまな形式の文書や、解釈が必要な内容には十分対応できないのが実情です。
3つ目は、外国語での出力です。日本の子会社では、日本語での承認用資料と、本社報告用の外国語(多くは英語)のデータの両方が求められることがよくあります。
ただ、AI Builderは元の文書の言語のまま情報を取り出す仕組みのため、日本語の文書からそのまま外国語のデータを作ることはできません。そのため、日本語と外国語の両方に対応するには、追加の処理が必要になります。
4つ目は、あいまいな情報への対応です。文書に数値の食い違いや項目の抜け、はっきりしない内容があると、そのまま処理するのは難しく、人の確認に回ることになります。ただ、その段階では内容が整理されているわけではないので、担当者は結局、元の文書を見直すことになります。
こうしたときに、Claudeのような生成AIで内容を整理しておくと、不明な点も含めて共有しやすくなります。担当者も一から読み直す必要がなくなり、状況をすぐにつかめるようになります。
Claude AIがPower Automateの不足をどのように補うのか
解決策は、Power Automateそのものを置き換えることではありません。むしろポイントになるのは、AI Builderではカバーしきれない「文書の理解」の部分です。
そこを補うために、Claudeのような生成AIを連携させて使うことで、全体としてできることを広げていく、という考え方になります。
最初に文書を取り込んだあと、Power AutomateのフローにClaudeを組み込むだけで、できることの幅がかなり変わってきます。Claudeはテンプレートに当てはめて処理するタイプではなく、文書の意味を見ながら読み取るのが強みです。
そのため、レイアウトがそろっていない文書や、縦書きの影響で読み取りが崩れているもの、日本語と英語が混ざっているようなケースでも、単純なパターンではなく中身をもとに処理できます。表の形が整っていない場合でも、内容を見ながら対応できる点は大きな違いです。
例えば請求書の場合、Claudeは必要な項目を拾いながら、扱いやすい形にまとめてくれます。日付も、令和のままではなく一般的な形式に直されますし、漢字で書かれた仕入先名も、Business Centralに登録されている名前に近いものへ合わせてくれます。もし数値や内容に気になる点があれば、補足がつきます。
契約書でも同様に、重要なポイントを整理したり、更新日にあたる部分を見つけたり、日本特有の法律用語を英語に置き換えたりといったことができます。
こうした処理をまとめて行えるため、これまで手作業で確認していた部分が減り、全体として作業の負担を軽くできるのが特徴です。
この仕組みの良いところは、Microsoftの環境から外れずに、SharePointやDataverse、Business Centralにあるデータをそのまま活かせる点です。すでに持っている情報をつなげて使えるので、管理もしやすいのが特徴です。
多くの企業は、実は必要なデータ自体はもう持っています。ただ、日本語の文書をうまく扱って、そのデータを引き出すための仕組みが十分に整っていない、そこが課題になっています。
これからの書類業務はどう変わるのか
日本で業務を行うMicrosoft製品を扱う企業にとっては、Power AutomateとClaudeの強みを組み合わせて使う形が、実際の運用には合っているといえます。
Power Automateは、SharePointのフォルダーに新しいドキュメントが追加されたタイミングで処理を始めます。ファイルを整えてClaudeに渡し、その結果をもとにデータを整理しながら、承認フローへとつないでいきます。最後は、そのままBusiness Centralに反映されるところまで自動で進みます。
こうした流れを一つにつなげて動かせるのが、Power Automateの良いところです。
Claudeは、文書全体に目を通して話の流れをしっかり把握した上で内容を理解してくれます。ページのレイアウトに惑わされることなく必要な情報を抜き出せますし、もし内容に問題があればそれも教えてくれます。2つの言語を組み合わせた出力も一度にできるので、文書を理解して整理する作業を任せることができます。
Power Automateが全体の進行を管理し、Claudeが書類の内容を理解するという仕組みです。それぞれが得意な役割を担当することで、全体の流れがスムーズになります。これによって、整理されたデータが自動的にBusiness Centralへ反映されるようになります
日々の業務で請求書や契約書、承認書類などを扱っているチームにとって、この仕組みは手作業の手間を減らす助けになります。Business Centralに入るデータの精度も安定しますし、処理の記録がきちんと残るため、電子帳簿保存法への対応や、後からの確認、監査などもスムーズに進められるようになります。
まとめ(Conclusion)
Power Automateは、日本で文書のワークフローを作るうえで重要な役割を持っています。ただ、それだけでは対応しきれない場面も出てきます。レイアウトの違いや縦書き、日本特有のルールへの対応に加えて、二言語での運用などが重なると、文書の扱いはどうしても複雑になります。
こうした文書処理では、Power Automateに組み込まれているAI Builderが使われることも多いのですが、その機能だけでは補いきれない部分もあります。そのため、文書の中身を見ながら処理できる仕組みが、やはり必要になってきます。
HTTP経由でClaudeをPower Automateに組み込むことで、いまの仕組みをそのまま活かしながら、足りない部分を補えるようになります。Microsoftの環境のまま使えるので、より複雑な構成になる心配もありません。
Sysamic K.K.は、東京を拠点に、Microsoft Dynamics 365 Business Centralを中心としたソリューションを提供している企業です。日本で事業を展開する外資系企業に向けて、Power AutomateやAIを組み合わせた業務改善の支援に特に力を入れています。 当社では、Power AutomateとClaude AIを組み合わせて、日本の業務に合った文書ワークフローの仕組みづくりを行っています。Business Centralとも連携しながら、日本特有のルールに対応できる形で運用できるようにしています。
文書処理でエラーが発生したり、手作業での修正が増えていたり、日本形式の書類でうまく処理できないと感じている場合は、メールにてお気軽にお問い合わせください。 info@sysamic.com へメールもしくは contact form here こちらをクリック.

